ファーストエイドについて

みなさんRICE処置ってご存知ですか?
の頭文字を並べたもので,打撲や捻挫などの怪我への一般的処置のことです.
受傷後24〜48H程度この処置を続けると,完治までの期間を短縮でき, 素人にもわりあい簡単に行える処置なので 覚えておいて損は無いでしょう. 詳しくは オンラインフィットネスクラブICOの「仮想施設別分類」 の「救護室」の 「基本的処置(RICE)」が参考になります.

ところでこのページの本題はRICE処置ではありません.
跳んでいて事故が起こった場合には,それよりも先に行われる「救護活動」があります.
そうして,その主役は怪我をした本人ではなく,怪我人の同行者や,場合によっては行きずりの他人です. ですから,「自分は怪我なんかしない!」という自信のある人ほどこのページを読んで下さい. ( 「自分は怪我しやすい」という自信のある人は,仲間にこのページを読ませましょう ;-p

誰かがエアのランディングで大転倒して,しばらく動かないような場合,あなたはどうしますか?
本人が「キャーキャー」笑って立ち上がらないでいるようなことでもない限り,ストックを鳴らして退去を促し たりしてはいけません. 本人が本当に立ち上がれないようなら,二次事故を防ぐために,すみやかにエア台を封鎖しま しょう. 次に本人の近くまでいって,状況を確認します. まず第一に確認すべきは意識の有無です. もし意識が 無いようなら,その後の救護活動には最低2人が必要になります.まずは人を呼びましょう.その次に自発呼吸の 有無を調べます. 自発呼吸も無ければ,あなたもしくはその場にいる誰かが,すぐに人工呼吸 を開始しなければいけません. 心拍がない場合には心臓マッサージを行います
人工呼吸/心臓マッサージの実施方法については 絶口調!応急手当・救命処置Q&Aが参考になります.
各県の赤十字が救急救命方の講習会を開いて いますので参加されるのも良いでしょう.
1人(2人以上が望ましい)が人工呼吸/心臓マッサージを行っている間に,別の誰かがスキーパトロールに連絡を 取ります.

本人に意識がないけれど呼吸は行っている場合には,気道確保を行い,それ以外ではなるべく動かさないように注意します. そして体温低下を防ぐために,必要であれば誰かのウェアをかける等してください. この場合も二次事故を防ぎ, 呼吸や心臓停止が起こったばあに人工呼吸を行えるよう,最低1人はそばに残って,別の誰かがスキーパトロールに 連絡をとります.

スキーパトロールに連絡をとるためには,ゲレンデベースまで滑り降りる必要はありません. 一番近くの リフト乗り場/降り場に行けば,リフト小屋にはスキーセンターとの連絡手段があります.
私はやったこと無いので保証の限りでは有りませんが,携帯電話が通じるゲレンデなら,事故現場からスキー場に 電話連絡してしまう方法も使えるはずです.
そこで,伝えるべきことは, という2つだけです. 中途半端な情報が錯綜しても混乱を増すばかりなので,必要な情報を簡潔に伝えましょう. 大抵のスキー場ではパトロールが何名か山のトップ付近に待機しているので,連絡さえつけばパトロールの到着 まで5分とかからないはずです.(しかし脳は4分間の酸素供給停止で重大なダメージを受けるので人工呼吸や 心臓マッサージはパトロール到着まで待ってはいけません.)

スキーパトロールが到着したら,ゲレンデ上ではスキーパトロールの指示に従って,スキー場の救護室へと向かいます. 脚の怪我の場合,(上級者は特に)自力で片脚でスキーセンターまで滑り降りようとする人が多いですが, その間の転倒で切れかけた靭帯にトドメをさしてしまうことになるかも知れませんので,痛みが激しい場合は ボート搬送も考慮して下さい.
ボートで搬送されたか,自力で滑り降りたか,いずれにせよスキー場の救護室で応急手当を受けた後,病院へ移送と なります. もしゲレンデに散っている仲間がいるなら,本人が応急手当を受けている間に呼び出しをかけてもらいましょう.
「○○県からお越しの××様,お友達の△△様が怪我をされました,スキーセンターまでお越しください」
ってヤツです.

仲間がそろったら,その後どうするかを相談します. まず決めるべきことは,どの病院へ行くかでしょう.
怪我の大きさや,スキー場と自宅の距離,天候,etc. 考慮すべき要素は多いですが,捻挫や骨折はできるだけ早く 初期治療と固定を受けられる方法を選ぶのが良いと思います.
スキー場の近くの病院へ行くのであれば, スキー場の救護室が近くの救急病院や整形外科の受け入れ状況は把握しているはずですが, 行ってみたら休診だったなどという ことが無いよう,スキー場から電話して外来受診できるか確認しておくと良いでしょう. ついでに診察待ち時間 も聞いて病院選択の参考にしましょう.

そうして病院が決まったら,実際の移動になります. 既に病院には怪我人の状態等連絡済みなので,先方に辿りつけば よいだけですね. しかし,怪我人を載せての雪道移動は大変です. 時間によってはスキー場からの帰路渋滞にはまって しまうかもしれません. 本当に重大な怪我の場合には,病院に連絡した時点で救急車を呼べないかどうか相談しましょう.

救急車が無理なら,おそらく仲間の車で病院まで行くことになるでしょう.
車のリアウィンドウにガムテープ等でケガ人在中と大きく書くと,振動を避けるために ゆっくり走っても,後ろの車に煽られずにすむかもしれません.
怪我人搬送スタッフはドライバーと看護係で最低2人ほしいところです. 痛がる怪我人の面倒を見ながら,初めての道(しかも雪道)を病院を探しながら運転するなんてのは,非常に大変です. 怪我人を後部座席に寝かせて運ぶ場合には,その面倒を見る人間がいれば,ドライバーは運転に集中できます. スキー場でしっかりと道を教えてもらったナビゲーターがいれば理想的です.

皆さん,無茶エアをする前に,こういった面倒を引き受けてくれる仲間と保険証の確認をお忘れなく.


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